春告げ鳥

3月11日。
青空、屋根の雪が溶けて滴る音が続く。
林の中暮らしのことで、太陽は照ってもあちらこちらに雪が残り、空気も冷たいが、初めて聴いた。鶯の音を。
続けて三声、ホケキョと鳴いた。
待っていた。まさに、まさに、春告げ鳥の訪れを。
雪深い里に暮らされる人には、それぐらいの雪で…と笑われるかも、眉ひそめられるかも知れないけれど、弥生三月になっても雪、霰が降る日もあれば、やっぱり年齢とともに気力、体力も衰え、雪に身を縮め、曇天に心をくもらせる日々が多かった。
青空の下、どこにとは姿は見えぬが、ホケキョ、ホケキョ…と三声。
ああ、やっと春が来た。

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