30年もみじ

障子に朝日があたって、シルエットになった木々や葉っぱが白い紙に揺れている。
障子を開ければガラスの向こうに、日に日に紅葉を深める一本のもみじの木がある。緑、黄色、オレンジ、深紅、さまざまに色づいた葉がまばゆい。
30年ほど前、母といっしょに選んで植えたもみじである。そのとき、椿も買って自宅の階段をはさむように植えた。
もう少し離して植えればよかった。歳月の間にかなり大きくなって、もみじと椿の枝が絡み合っている。
おまけにこの椿、一本と思っていたけれど、二本くっついていた。
花が咲き始めると赤い花と白い花が咲く。珍しい椿ですね~。一本の木に白い花、赤い花が咲いている珍種だろうか?と尋ねられる。
幼いころに二本をそれぞれに分けてやればよかったものを、根元のあたりできっちりとくっついている。
そんなわけで、見上げればもみじと椿、葉っぱも枝も厚く重なりあってしまっている。
大きく傘を広げたような形に育ったもみじは、毎年とても鮮やかに紅葉する。通りがかった人が立ち止まって見ておられることがある。車を停めて写真を撮られる人も。
いま、向かいの山も、ぐるりと目を移せば見える円くて低い山々も、おだやかに優しい紅葉景色である。
あとしばらくは、木枯らしが葉を吹き飛ばすまでは、紅葉景色が楽しめる。
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