頭上にご用心

エッ?なんのことですか?
上空を見上げながらソロソロと近づいて来られる。
青空の下に繁る桜、椿の葉が眩しくて、目は物体をつかまえにくいようだ。
実は、桜の枝が折れて、ほぼ直角にぶら下がっている。3メートルもの長さの枝がつららのごとく下がっている。
先端をつかまえれば引きずりおろしもできそうだが、先端は頭上はるか上にある。
箒をさしのべてみた。飛び上がればかろうじて細い枝の先っぽに触れるが、かすかに揺れるばかり。
人さまの訪れは少ないが、郵便配達さん、新聞の人も毎日毎朝来られる。ことちゃんがまた、歩いてお手紙を届けに来てくれるかもしれない。
そのとき落下すれば、枯れ枝と言えどもケガをさせてしまうだろう。頭に刺さったらどうしよう?あれこれと心配、不安が生まれ、溜まる。
次の強風で、それも夜の間に、ポキリと折れて落ちてくれぬものか!?と風頼み、神頼みのまま数日たった。
朝、もの音に出てみたら、ことちゃんのおじいちゃんとおとうさんが大きな脚立を立て、枝にロープを掛けての作業中であった。
ビシッと鈍い音がしてみごとに枝が落ちてきた。
ありがとうございました。
わが家の小さな脚立に貼り付けていた、頭上にご用心!の紙をはがした。
しばらくの後、もうお一人、軽トラックの荷台に脚立を積み込んで来てくださった。
見上げて、あれっ?
いまさっき、枝を落としていただいたんですよ。
それは良かった。ハイ、ハイ。
さっさと帰っていかれた。
たまたま訪ねて来られたときに、頭上にご用心!の貼り紙を見られて、その後の様子を尋ねに来てくださったのだ。
本来ならわが家で取り除かなければならないところ。
この木の下を通る人は少ないことだし、大きな脚立も無いことだし、次の風で落ちてくれれば、などと呑気に過ごしていたことが恥ずかしい。
ご近所のご親切、ほんとうにありがとうございました。

「頭上にご用心」への2件のフィードバック

  1. 息子さんの知り合いです!
    今日たまたま知りあいました(笑)
    これからもブログ頑張ってください!

  2. 穏やかな日常に穏やかならぬ光景。ご近所の優しさと子供さんを思いやる気持ちを
    良く纏められ読む側も”ほっこり”します。いつも文を書きながらも筆が止まる事が多い
    のですがこの文も参考になりました。

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