笹百合

笹百合の花をいただいた。
花瓶に挿すなんて何十年ぶりのことだろう。
昔、小学生だったころ―、もう半世紀以上も前。
通学の道に迫る山肌にも、向かいの山裾へと続く田畑の畔にも、薊や蛍袋や笹百合が咲いていた。
道々、手折っては教室の黒板の前の教卓に挿した。
高校を卒業後、この里を出た。笹百合の咲くころをいつのまにか忘れていた。
長い年月の後でこの里に暮らし始めたとき、家の裏の林に笹百合を1本見つけた。
蕾が開くのを楽しみにしたが、どうしたことか翌日には無くなっていた。
昔は身近な花だった笹百合がすっかり珍しい花となってしまった。
いま、わが家の周りには、ニョキニョキと背が高いユリが咲く。どこから種が飛んで来たのか、タカサゴユリだそうだ。
笹百合の花は清楚な風情なのに、隣の部屋に挿した笹百合の香りは思いの外、強く濃く迫ってくる。

「笹百合」への2件のフィードバック

  1. ササユリ、最近は見かけなくなってきました。
    私も懐かしい思い出のある花です。
    同じように、教室に持っていってました。
    香欄花とよんでいましたよ。
    ササユリを見たくなりました。
    ササユリは移植が難しいようです。
    こちらもタカサゴユリが繁殖していますよ。

  2. 梅雨の季節は、雨の中に光る紫陽花の話題が多い。蛍袋も見つけると嬉しい。
    ジュンサイ池で蛍袋を見つけて、昔の人が花の中に蛍を入れて、その明かりを
    楽しんだことをFBに投稿した。出先の近くのスーパーに時間つぶしで寄ったら、
    小さな蛍袋が花コーナーにあった。話の繋がりから何か嬉しくなり買うことにした。
    324円を話しているうちに150円におまけしてくれた。
    梅雨の季節、紫陽花の話題や写真投稿が多くなる。だが、ユリの話は一番嬉しい。
    亡くなった祖母が、鉄砲百合を育て、売った金でカメラや自転車を買って貰った。
    子供の頃、どちらも高く、1万円以上した。5円、10円の花を売り何か月も貯めて
    買ってくれた。

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