茅葺き

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ご近所の茅葺き屋根が修繕中である。このあたりでただ一軒の茅葺きの家。
茅葺き屋根の葺き替え作業を久しぶりに見た。
部分的な補修のようで、新しい茅の黄褐色のところと、長年月風雨に耐えた黒っぽいところとがパッチワークのようになっている。
生まれ育った家も茅葺きであった。
前の家も隣の家も、集落のほとんどの家が茅葺きだった。もう半世紀以上も昔のこと―。
葺き替え作業を思い出す。
あの頃、屋根全体を葺き替えるのではなくて、今回は南側を、次回には東側をと順番に葺いていた。
葺き替えるための茅は、各家で刈り取って乾かして保管してあった。
屋根全体を葺き替えるための大量の茅の準備ができなかったから、今回は南側だけという葺き替えだったのだろうか?
当時、わが家には囲炉裏があった。土間では、竈の下もゴエモン風呂も柴をくべ薪を燃やしていたから、屋根の茅も藁も存分に煙や煤を吸い込み、まとわりつかせている。
屋根葺き職人さんも手伝う人も全身真っ黒になった。
一日の作業が終わる頃、ゴエモン風呂がたてられる。
真っ黒の煤を落とすのは、まず職人さんである。
煤を洗い落とし、持参の衣類に着替え、さっぱりと身仕舞いをして、職人さんは自転車で帰って行った。
翌日も、その翌日も、屋根葺き作業が続く。
そんな日々が何となくうれしかった。
茅葺き屋根の厚さは30、いや50㎝?
部厚い屋根の下、夏はひんやりと涼しかった。
冬は囲炉裏端で煙に目をしかめながら、父に昔話をせがんだ。
何度も同じ話が出てきたけれど、十分におもしろかった。

「茅葺き」への2件のフィードバック

  1. 懐かしい景色を見ることは殆どなくなりましたね。
    高1まで、藁葺きの家で囲炉裏があって、五右衛門もあって、今思えば最高の贅沢な中で育ったなと思います。
    屋根のふきかえも覚えてますよ、大変な行事で、炊き出しが楽しみでした。
    茅葺きの家、こちらでも少なくなってきてますよ。
    ちょっと思い出すことが出来て嬉しいです。

  2. 佐渡の空き家に1週間帰ってきました。佐渡の家は中学校の時に茅葺の屋根を取り壊し瓦葺にしました。
    新築しても金額はほとんど同じぐらいと言われたのですが、父は改造を選びました。改造した形で残っているのは
    多分、近隣では我が家だけかと思います。新築をした家も60年近くなりましたので建て替えが必要な時期になって
    いますが、我が古民家は大きな柱でがっしりとしています。
    茅葺の東西南北の屋根の部分を数年毎少しづつ葺き替えたこと、五右衛門風呂、全てが懐かしい思い出に繋がり
    ます。

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