大工さんに押し入れの修繕をしてもらった。雨漏りがしていた。
以前から押し入れの中の荷物は全部出してあった。16年前にこの家に移ってきたときに押し込んだまんま、フタを開けたことのないダンボール箱もある。
押し入れの天井も壁も床板も、木の香匂う杉板が貼られた。
この際、荷物をスッキリ整理しようと決心したのだけれど…。
見てしまった。こどものアルバムを。ノートを。
見てしまうと、もう、整理しようとしていた手は止まる。一枚、一枚に見入ってしまう。読んでしまう。
漢字のプリントの束がある。
3年生、といえば20数年も前。例えば、「遊」という字を使って短文を、とある。
ぼくのお母さんは西遊記のちょはっかいににています。
「品」では
ぼくのお母さんはけしょう品をあまりもっていません。
4年生、「料」
お母さんの料理はとてもおいしい。
5年生になると
「肥」
ぼくの家にはまるまると肥えたお母さんがいる。
ちゃんと母を見て、こんなにもかわいい表現をしてくれたものを。
ああ、いつの頃からだろうか?
肩に手を置こうものなら、スルリと抜け、おーい!と手を振れば、プイと他人のような素振りをし、
体育祭には来ないで!と言うようになったのは?
遅々として、荷物は片付かない。

押し入れは宝物が眠っていますね!
片付けに時間がかかるのもわかります。
懐かしい引き出しですね!
宝物と思う気持ちが伝わってきます。そして手を止めて読み続けている姿も浮かんできます。
それにしても西遊記と肥えたお母さんにクスリ。また子供の目で品は化粧品、料は料理に繋
がるのかと感心しました。この宝物なら捨てられないし片づけられないのは わかります。