この里の紅葉は美しい。滝も、庭園も、寺も神社も…、名所といわれるようなところは無いけれど、里全体がきれい。ともかくきれいと自慢するものだから、そんなに?と人が来てくださる。
なんと、紅葉の時期は、来ていただく日を調整している。この日に来ていただくと好都合ですが、とこちらの勝手を伝えると、行くよ~、お弁当も持っていくからとこちらに合わせてくださる。
毎日のようにそこかしこの紅葉をめぐって遊び暮らすうち、夜半にバラバラ、バラ。雨かと思ったら落葉頻り。
明ければ、昨日までの情景とは一変し、紅葉まばら、裸木だらけの林、森。
訪問客は減り、絶え、やがて凍てつく日々の訪れとなる。
いつも、落葉の後は冬ごもりです。冬眠します、と言っている。
冬もまた、この里の自慢をすれば人の訪れがあるだろうか?
さて、冬枯れの里は何を自慢しよう?

紅葉は一瞬の「あぁ、いいね!」で終わるが、屹度、和子さんとの話が楽しいから
沢山の人が訪れるのであろう。紅葉の時期は紅葉を仲人(口実)にして訪ねられる。
それでも何かのお誘いが無いとお邪魔かと人は思うもの。
お茶でも如何ですかと一言が欲しいもの。多分、冬でも喜んで行きたくなる。
近ければお茶を頂き世間話をしてみたいなぁと「自慢」を読みながら思った。