梅雨が明けて3日、この夏初めてのひぐらし蝉を聞いた。朝4時半、まだ薄暗い時間。
カナカナカナカナ、輪唱が雑木林を巡っていく。
ひぐらし蝉と言えば夕方頃に鳴いて、ようやく灼熱の一日も終わる頃を告げる蝉だと思っていた。
ところが、ひぐらしは朝にも鳴く。
夜明け前のカナカナカナカナを知ったのはずいぶんと人生の歳月を重ねてからのこと。
周りの大人はあたりまえのことと思っていたからか、とくに教えてはくれなかった。
こども時代、夜明け前に目覚めるなんてことはない。夏休みのラジオ体操にも、大声で起こされて寝ぼけまなこで駆けつけるのが常であった。
ひぐらしの鳴くのはラジオ体操よりずうっと早い。
夜明け前のひぐらしが耳に届くようになって、カナカナカナカナひぐらしが鳴けば涼しくなりそうという思いが変わった。
今日も暑くなるよーと知らせているように聞こえるのである。
太陽が昇ればニイニイ蝉の合唱が始まる。
玄関を出れば地面に小さな穴が。これから毎日のように穴の数が増えていく。覗けば目玉に合うこともある。
傍らの木々には脱け殻が、そこにもかしこにもくっつき始める。
ますます暑くなる。
日々朽ちてゆく脳みそと格闘する毎日です。歌を詠むことも「ボケ防止」の一手段になりつつあるような。
・蝉とらふ子らもてあそぶ玉の緒に森閑としてかげ濃きまひる
・古きノートひらかば抜け毛くろぐろと熱おびてあり至上の夏の