4人の方からあいついで椎茸をいただいた。たくさんいただいた。どなたも自家栽培の椎茸である。
一晩中しとしとと降っていた春雨と翌日の陽気にむくむくと育ったのか、手のひらサイズのもの、肉厚のもの、どれも採りたて、おいしそう。
さて、どうしよう?
椎茸は煮ても焼いても、メインにそれだけ食べても、刻んで餡のようにしても他の食材の味を引き立ててくれる優れものである。
が、椎茸、椎茸、あまりの量に、椎茸を食べ尽くすまでの献立を思い付かない。
干し椎茸もいいけれど、林の中のこの住まいで上手に乾燥させるのは難しいことをかつて経験した。
少し残してあとは佃煮にしておこう。
椎茸を刻み、昆布を刻み、昨年摘んで冷凍してある山椒の実も入れて、クツクツ煮て仕上げたら長く椎茸を味わえる。
刻んだ椎茸は大鍋にいっぱいになった。
煮始めたら泡が出てくる。しつっこく泡立つアクをすくいとり、すくいとり、砂糖、味醂、酒、醤油などで調味する。椎茸と調味料の香りが部屋に満ちる。
4軒の家の軒下で、畑で、林の中で育てられた椎茸が、ひとつの鍋の中でトロリと煮詰まった。